No.06 2003.07,08
貧血とは、大切な酸素を運んでくれる赤血球や血色素が少ない状態、つまり血液が薄い状態をいいます。立ち上がるときなどに、クラクラして目の前が真っ暗になる状態をよく「貧血」と呼ぶ人が多いのですが、あれは低血圧による脳の酸素不足で、いわゆる「脳貧血」と貧血とは違います。貧血の中で最も頻度が多いのは、赤血球の材料になっている鉄分の不足による鉄欠乏性貧血です。とくに若い女性に多く見られます。
■原因
- 摂取栄養素の不足によるもの:鉄欠乏性貧血、悪性貧血など。
- 出血によるもの:胃・十二指腸潰瘍、消化管のガン、痔の出血、生理中の過多出血など。
- 赤血球破壊亢進によるもの:溶血性貧血など。
- 胃・十二指腸潰瘍を切除した人の鉄吸収障害
- 血液をつくる工場(骨髄)が弱っている場合:再生不良性貧血、ガンの骨髄転移など。
- その他の原因:腎障害、全身のガン、白血病など。
■症状
〈自覚症状〉
体がだるい、肩こり、疲れやすい、頭痛、息切れ、めまい、動悸。
〈他目覚症状〉
顔が青白い(眼瞼結膜など)、皮下出血、爪が蒼白になる、爪が変形する、舌炎や口角炎。
■診断
上記の自覚、他覚症状があれば、内科医を訪れ診断を受けてください。
■食事療法
一般にはバランスのとれた食事、とくに鉄分などミネラル、B群など豊富なビタミン、十分なタンパク質を含む食事大切です。貧血の中で一番多い鉄欠乏性貧血は食事療法で改善することができます。ここに鉄分やビタミンを多く含む食品を挙げましたので、これらを参考にしてバランスのとれた食事をとれるようにしてください。これら(1)〜(4)を程よく配合して、豊富なタンパク質、ビタミン、ミネラルをよく摂ることが必要です。それには偏食を避けましょう。また、脂肪の多量摂取は鉄の吸収を悪くしますから控えめに。鉄剤を内服している時は、服用の前後少なくとも1時間はタンニン酸を含む緑茶、紅茶、コーヒーを飲まないようにしましょう(せっかく摂った鉄分を役にたたなくします)。
■薬物療法
貧血の原因によって治療法が異なります。たとえば溶血性貧血では、血液が溶けるのを防ぐ治療法が、また痔出血や生理時の過多出血の場合には、それを改善することが必要です。女性に最も多い鉄欠乏性貧血の場合、とくに食事療法で改善しない時や貧血の程度が強い時は、鉄剤の服用が必要。専門医から処方された量の鉄材を必要な期間(2〜3カ月)、きちんと服用しないと再発の恐れがあります。
【監修】
新赤坂メディカルグループ 名誉院長 松木康夫
【編集】
看護婦(小林アイ子、田中友子、花村千香子、黒木郁代、佐藤 恒、小森信子、中村美智子)
管理栄養士(原 雅子)の共同研究より 平成2年6月
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