No.12 2004.05,06
腎細胞ガンは初期の状態ではほとんど無症状で、症状が出始めるときにはすでに進行ガンとなっています。しかし、早期発見する術がないわけではないのです。年に1回の人間ドックを受け、超音波検査やCT検査をすることで早期に発見できます。
■働き者の“腎臓”に忍び寄るガン
腎臓は、腹部の背中側で背骨の両側に左右一つずつあるソラマメのような形をしたものです。大きさは長さ9〜11cm、幅5〜6cm、厚さ4〜5cm、重さ120〜150gほどの臓器で、血液を濾して尿を作ります。1日1300〜1500リットルもの血液が腎臓に流れ込み、尿を作り出すのですから大変な働き者と言えるでしょう。そんな腎臓に発生するガンは、主に腎細胞ガン(成人に発生)と言われるもの。年間に約5000人もの方々に発生し、60〜70歳の高齢者に多いのが特徴です。
■初期のガンは無症状のことが多い
腎細胞ガンは初期の状態ですとほとんど無症状と言ってもいいでしょう。血尿や腎臓の腫瘤、腎臓部の疼痛(とうつう)などの症状が出揃ったときはすでに進行している状態と言えます。ましてや以前は発見されたときはすでに進行していて、手術しても5年生存率はほとんど0でした。しかし今では、超音波検査が発達したおかげで早期発見も可能になり、5年生存率も84%の高率を誇っています。とはいえ、これは人間ドックを受けて超音波検査やCT検査などした場合です。
■検査を受けなければいつまでも不治の病
腎細胞ガンは病期にかかわらず、手術による腎臓摘出となります。しかし、人間ドックなどで腫瘍サイズが小さい腎細胞ガンが早期発見されるようになり、全摘出ではなく一部のみの摘出するという手術も行われるようになりました。また、初期のものは病院によっては内視鏡を用いた手術のため、傷が目立たず術後の退院も早くなったのです。
何にせよ、人間ドックで超音波検査やCT検査などを受けていない人には、いまだ腎細胞ガンは不治の病と言えるでしょう。
【資料】
自覚症状が出る前に「ガンの芽をつんでしまう本」(松木隆央著・青春出版社刊)
|